MAJORA CANAMUS.

ヘンデル「メサイア」への想いを、台本と楽譜をもとに語ります

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

No.1 序曲 (3)

序曲は付点が特徴的な導入部、中間部のフーガ、そして終止部からなる。導入部は、前述のように上昇傾向の音形であるが、心からの喜びというより、心の嘆き、叫びを底から絞り出す、あるいは厳しく叱責しているかのようである。 これに対して中間部のフーガの…

No.1 序曲 (2)

序曲の導入部の最初は以下のような主題から始まる。 しかし、原譜の付点リズムは、複付点と16分音符の組み合わせであることが広く認められており、しかもスコアによっては、下記のように休符を組み合わせた鋭い切りと音形をイメージしている場合もある*1。 …

No1.序曲 (1)

メサイアのロンドン初演(1743年)のワードブック表紙の、テモテへの第一の手紙(第3章16節)とコロサイ人への手紙(第2章3節)に目を通した聴衆は、もしかしたら神を賛美するような長調の序曲を想像したのかも知れない。 しかし、序曲は短調で始まる。しかもホ短…