MAJORA CANAMUS.

ヘンデル「メサイア」への想いを、台本と楽譜をもとに語ります

No.5 Accompagnato "Thus saith the Load"

まことに、万軍の主はこう言われる (ハガイ2:6-7、マラキ3:1)

 

 第2場の最初の曲の語句は、一部が省略されたハガイ書とマラキ書の欽定訳から選択された。

 前半のハガイ書は、バビロン捕囚から帰還した人々によりスタートした神殿の再建が進んでいないことに対する叱責である。第4曲の希望や喜びに対して、前奏の付点が厳しく宣言するかのように曲想を一変させ、主の厳しさをBassが毅然と歌い始める。地を揺らすコロラトゥーラが神の出現を示すように3回(6-7、10-11、12-13小節)繰り返される。まるで神殿再建を強く促すようであり、ここから想像されるのは「メシアの到来に準備せよ」と言われているようでもある。14小節以降の16部音符の弦楽器は、神の赦し、メシアの到来は、人々に対して突きつける厳しさもあるのだということを、人々の心に迫ってくるようでもある。

 後半(22小節以降)のマラキ書は、主は突如、聖所に出現するのだということ、メシアついて換言すれば、メシアは突然現れるのだということを宣言しているようだ。

 メサイアでは、「宣言」、「厳しさ」や「叱責」を力強く表現する際に、Bassがその役目を果たす。