MAJORA CANAMUS.

ヘンデル「メサイア」への想いを、台本と楽譜をもとに語ります

No.1 序曲 (4)

 Violino 1 & Oboe 1 → Violino 2 & Oboe 2 → Basso continuo に引き継がれた主題に続いて、対話を想起させるような音型が表れる。最初は、Violino 2 & Oboe 2(主題17小節のパッセージ)とBasso continuo(2分音符の音型)の組み合わせ(下図26-28小節)、次に、Violino 1 & Oboe 1(主題17小節のパッセージ)とViola(2分音符の音型)の組み合わせ(28-30小節目)、さらに、Violino 2 & Oboe 2(2分音符の音型)とBasso continuo(主題17小節のパッセージ)と対話が示される。8分音符と2分音符の対話は、苦悩・不安とその解決を示しているように思える。また、人間の騒がしい心(8部音符)と神の預言(2分音符)を表しているようにも思える。人間の何回にも及ぶ神への反逆を、神が諫めているようでもある。

図 序曲 26-28小節

 その後、まるで懲りない人間の心の昂ぶりを表すかのように、主題のパッセージがViolino 1 & Oboe 1とBasso continuoとの掛け合いで2回繰り返され(32-35小節)、さらに心の昂ぶりが昇華するような、主題の4小節目を5小節にわたって展開した8部音符と、それを支え嘆くような半音階のBasso continuoが続く(下図40-44小節)。なんとも興奮した、そしてやるせなさ、人間の罪深さを感じるところである。

図 序曲 40-44小節